2022年6月21日(火)、連続学習会「ナラ枯れ被害の現在と皆伐更新の可能性―持続可能な里山管理を考える」 第2夜「持続可能な里山管理のあり方を考える」を開催しました。
この日、話題提供してくださった長久豊さん(桜ヶ丘公園雑木林ボランティア)に宛てて、参加者の方からご質問がありましたのでお伝えしたところ、以下のとおりご回答いただきましたので、お知らせします。
(1)密度管理
Q. 密度管理について10本/100㎡=1,000本/ha は密度が薄すぎないか。
教科書的には2,000~4,000本/haと先輩から教わったが、まっすぐ伸びる幹を得るためには。
A. 私が多摩市の郷土誌を調べた限りでは、先日お話ししたとおり15本/aという数値が最多でした。しかし、これまでの経験からその数値を採用すると樹冠が競合してしまうことが想定されましたので、10本/aに設定したものです。実際の現場を見ていただけると分かりますが、見学者の方などからは「かなり密にしていますね。」といわれるほどです。
これは私の想像ですが、指摘されているほどの密度で管理するのは、細い焚き木を得るために生産性を高めた林かもしれません。
(2)200㎡の伐採で日照が確保できたか
Q. 小規模皆伐を始めた当初は、周囲の樹木高さは20m前後では。その中で200㎡くらいの皆伐で日照が確保できたか。
A. 第1サイクルの皆伐更新では、最小必要面積などというものを考えたこともありませんでした。その結果、抜き切りして萌芽枝を枯らしてしまうという苦い経験もしています。現在、緩衝帯の木の高さは20m程度で、そのすく北側の皆伐更新地区には十分な日照が得られていないと感じています。一方、皆伐更新地区の木は15m以下ですので日照に関しては比較的有利です。そのように場所的な特性も考慮しながら皆伐面積を決めています。実際に皆伐更新している面積は平均で約300㎡で、部分的に狭くなっても200㎡以下にはならないようにしているということです。
(3)相対照度の管理
Q. 相対照度管理はしていないか。当方の経験では40%くらいが理想で30%では成長が悪い。ただし、萌芽更新はほとんどせず、苗の植樹が中心だが。
A. そのような管理はしていません。一時期、関心が高まった時に、積算照度を計測したことはあります。しかし、そのデータを何と比較するのか良い指標がなく、そのまま終了しました。萌芽状況と比較しても、樹齢など他の要因の方が大きいと思われたからです。
(4)下草刈り
Q. 更新後、4年目までは毎年下草刈りを行うとのことですが、それは年1回か複数回か。その時期(月又は季節)は?
A. 皆伐後4年目まではササの伸びが著しいので毎年実施しますが、それ以降は樹幹が広がって林床への日照が抑制される結果ササの成長が鈍くなることが確認されたため、2年に1回にしたものです。労力の軽減と野草保護との観点から、そのように計画しました。下草刈りの時期は冬場に行うように計画しています。アズマネザサにダメージを与えるには夏場の方が良いのですが、野草保護との関係で、そのようにしました。